健康経営の始め方・進め方

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 このコラムでは、健康経営をこれから始める方を想定した進め方を解説します。最初に一般的な手順を提示した上で、健康経営を進めるフレームワークとして健康宣言事業と健康経営優良法人の活用をお勧めします。

健康経営を進める一般的な手順

 健康経営では一般的に最初に実施するのは、健康宣言と体制構築です。

 健康経営の第一歩は健康宣言です。健康宣言は、健康経営を実施することを会社の方針として明示して、社内外の関係者に公式に発表することです。なぜ当社が健康経営を実施するのか、目的は何か、体制はどうするのか、何を実施するのか、などを伝えます。それによって担当者以外の従業員にも意図が伝わり、担当者が実行する施策に対しても従業員の協力が得られやすくなります。

 次に全社で取り組む体制を構築します。ここでは、責任者と担当者を決めますが、衛生委員会などの既存の活動があれば、それをそのまま活用して構いません。会社の規模、事業所の配置など会社の状況により最適な体制は異なりますが、社内に健康経営を浸透して推進できる体制を目指します。

 健康経営で進めるのは、従業員の健康管理です。これは主に「個人の健康管理」と「職場環境の整備」です。個人の健康管理を実行するのは本人ですから、会社が実施するのは「個人への働きかけ」になります。もう一つは、職場環境の整備です。これは、長時間労働対策、メンタルヘルス対策、病気の治療と両立支援、感染症対策などで、会社の制度作りと言えます。すでに実行されている企業も多いと思います。少なくとも法令遵守していれば、最低限の健康管理はできているはずです。

健康経営の進め方には型がある

 健康経営には型があります。健康宣言事業から健康経営優良法人認定制度というルートです。この2つの制度は、健康経営を進めるフレームワークになっていて、実施すべきことを導いてくれます。

 健康経営を始める企業、特に中小企業は、最初に「健康宣言事業」に参加することをお勧めします。「健康宣言事業」は、協会けんぽや健康保険組合など企業の健康経営の推進をサポートする事業です。健康経営を始めたばかりで何をしたら良いかわからない状態から、次の一歩を踏み出せます。

 「健康宣言事業」は、各県の協会けんぽ・健康保険組合が制度を用意しているので、各県で制度が異なります。健康宣言を社内や社外に告知する宣言書や、各種セミナー、リーフレット、健康経営の計画表など様々なサポートが受けらます。一定の基準を満たすと優良企業などとして認定される制度も設置されている県もあり、それが最初の目標到達地点にもなります。 また、金融機関の金利や保証料優遇などのメリットもあります。

 健康宣言事業への参加は、「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」の必須要件でもあります。「健康宣言事業」の実施が「健康経営優良法人」の取得につながりやすいように制度設計している県もあります。
 ※健康経営優良法人(大規模法人部門)は健康宣言事業への参加は認定要件ではありません。ただ協会けんぽや健康保険組合との協力関係構築の観点から健康宣言事業への参加をお勧めします。

 健康宣言して健康経営が軌道に乗ってきたら、「健康経営優良法人」制度の検討をお勧めします。「健康経営優良法人」は、経済産業省が推進する、全国共通の基準の認定制度です。ここで「健康宣言事業」の次にお勧めする理由は、実施面と対外的なアピール面の2つです。

 実施面では、”健康経営で実施べきプロセスや項目が網羅されている”、”中小企業、大企業それぞれの事情が考慮されている”ということにつきます。つまり「健康経営優良法人」を目指すことで健康経営の質の向上が図ることができます。

 対外的なアピール面では、「健康宣言事業」は各県で制度が異なるため優良企業と認定されても、県外でのアピールは弱いですが、「健康経営優良法人」は全国で認識されています。大手求人サイトでも検索項目になっており、採用においても有利に働くと見られます。健康経営優良法人のロゴは、ハローワークの求人票でも使用可能です。さらに、現在は再構築補助金などの加点要素にもなっており、国の施策での様々な優遇対象となることが期待されます。